二輪と深夜とロックンロール

ジャズとロックとバイクと喫茶店とそれらが出てくる本が好きです。元『東京文系大学生』。

グラミー賞2016と、I'm afraid of Americans

グラミー賞の映像をWOWOWで観ました。色々とショッキングですらある一大イベントです。

うーん、グラスパーの『Covered』が受賞できなかったのが悲しい!でもジャズ部門はマクブライドにマリア・シュナイダー、ジョン・スコフィールド(さらにレイラ・ハサウェイも)といった新旧取り揃えるいいラインナップにまとまったとも言えるかもしれません。

 

燃えるケンドリック・ラマー

まず、ケンドリック・ラマー。炎をバックに、囚われた黒人たち、アフリカ伝統舞踊、そしてアフリカ大陸。一見してストレート過ぎる政治思想はあたかも公民権運動時代の黒人たちのようでありながら、日本と同様にインターネットによる情報の短文化が進んだ(トランプ化)アメリカの状況が知れるような、そんなパフォーマンスでした。そこには間違いなく危うさも潜んでいたけれど、表面的なパフォーマンスが威力を持ち始めているというところまでアメリカは追い詰められているということなのかもしれない。

そんなケンドリック・ラマーのTo Pimp A Butterflyは数々の部門にノミネートされ、ヒップホップベストアルバムをはじめ幾つかの部門では見事受賞を勝ち取りました。しかし、年間ベストアルバムに輝いたのはテイラー・スウィフト。年間ベストソングはご存知マーク・ロンソンのアップタウン・ファンクでした。このことが何よりも今のアメリカを物語っているのかもしれません。そもそも2015年に世間を席巻した80s回帰というムーブメント自体が行き過ぎた商業主義への懐古ということをも意味しかねないということなのでしょうか。

 

ボウイはファッション化したのか

そして、レディーガガによるボウイトリビュート。ナイル・ロジャースを迎え、山本寛斎の衣装を復活させてサフラジェットシティをはじめ名曲メドレーを披露した彼女ですが、ボウイファンからは賛否両論のようです。ボウイの名曲『ファッション』になぞらえてこれを語る人も散見されました。この曲でボウイは流行というものを皮肉的に捉えながら(Turns Left, Turns Rightと歌いながら)も、その曲によって当の数字的な価値観を裏付けしていくという矛盾をやってのけました。

ガガは表面的なのか。歌唱力・カリスマで確かにボウイに及ばない部分もありますが、しかし彼女はベックやマリリン・マンソンと並んでボウイ・フォロワーの代表格となったメジャー・カルトの女王です。侮ってはいけない。今回のトリビュートが薄っぺらく見えてしまうとすれば、それは大量の曲をつなぎあわせたメドレー形式であったこと(これはグラミー側のオファーであると思われます)、そしてオリジナリティよりもリスペクトをシンプルに優先した演出によるものでしょう。また、ボウイはファッション化したのか、と問われたならば、そもそもがファッショナブルなキャリアであったと答えることも可能です。彼ほどにミーハーだった人間がいようか。

 

I'm afraid of Americans

しかし、アメリカという国は本当にエンタメが成熟してるなー。滅茶苦茶にバカっぽいことを言うならば、アメリカでは多くのジャンルが平等に音楽として評価されるし、みんな歌すげー上手いし、プロフェッショナルであり、ヒリヒリとしたアーティストとしての自負がある。日本ではミュージシャン=アーティストは絶対に成り立ちません。羨ましいなあ。

それでいて、上記ケンドリック・ラマーやガガの件だけで分かるように(さらに拡大するならば、昨年ニューヨークのワールドトレードセンター跡地を見た時も同じことを感じましたが)、そこには何らかの違和感が、例えば、ある意味に於いては成熟した『大衆』を扇動しようという明確な力が未だに残っている。博物館では、テロで亡くなった方の顔と名前を広大なスペース一面に展示し、涙を流す遺族の声を24時間再生している。国民がマクドナルドによって肥満に苦しむのを横目に、マンハッタンのインテリ層はベジタリアンとなる。そういう国です。

そこに僕は恐怖すら感じますが、それはあまりに言いがたく、うまく言語化出来ていません。代わりに僕の大好きな曲、『I'm afraid of Americans』を貼っておきます。

www.youtube.com

Johnny’s in america, low-tech’s at the wheel
ジョニーはアメリカにいる、ローテク製品を操る
No-one needs anyone, they don’t even just pretend
誰も誰かを必要としない、必要なふりさえしない
Johnny’s in america
ジョニーはアメリカにいる

[Chorus]

I’m afraid of americans
私はアメリカ人を恐れている
I’m afraid of the world
私は世界を恐れている
I’m afraid I can’t help it
助けられないことを恐れている
I’m afraid I can’t
できないことを恐れている

I’m afraid of americans
私はアメリカ人を恐れている


Johnny’s in america
ジョニーはアメリカにいる
Johnny wants a brain, johnny wants to suck on a coke
ジョニーは脳が欲しい、コークをしゃぶり
Johnny wants a woman, johnny wants to think of a joke
女が欲しい、冗談を考えることを求める
Johnny’s in america
ジョニーはアメリカにいる

[Chorus]


Johnny’s in america, johnny looks up at the stars
ジョニーはアメリカで、星を見上げる
Johnny combs his hair and johnny wants pussy and cars
髪を撫でる、子猫ちゃんと車が欲しい
Johnny’s in america
ジョニーはアメリカにいる

[Chorus]

God is an american
神はアメリカ人だ

引用:http://mk1sp.blog.so-net.ne.jp/2013-06-01