ネットフリックスの刃牙、ライタイとアライジュニア編が公開されてたので、一応、刃牙を愛した人間として、すべて観ました。なんつーか、意味不明な展開の続くこのアニメに声を当てた声優の皆さんが非常に気の毒になった。
や、良かったところもある！なんといっても、死刑囚編を描いた1期からすると、アニメーションとして格段にレベルアップしていた。1期は、宮崎駿が観たら即座に「生命への冒涜を感じるッッ」と憤りそうなヘナヘナCG（那須川天心がモーションアクターだけど）を使った、まさしく悪夢のような画面だったのだが、今回はまさかのCG無し。走ってる車とかだけCGだったかな。
これはうれしいですよ。ウルトラマンとか、攻殻機動隊とか、とかく最近ネトフリアニメはCGモデルに力を入れてるけど、まだまだなんとも微妙ですから。攻殻はしっかり作ってあったけど、ストーリーがつまらんかったし。あれ、バキと同じ？
1期への猛烈な批判を受けて柔軟に対応したのはすごいが、シリーズとしてはこの時点で破綻していることを感じた。
まあとにかく、アニメでちゃんと格闘を描いてくれるし、ライタイでの烈海王なんて表情も豊かで非常に満足。裏返ったッッとか、範馬刃牙復活ッとか、烈は明らかにスタッフに愛されていた。
あとあの人たちね！旧式カノン砲の砲弾炸裂に至る男、楊海王！偉そうにノッポ海王を馬鹿にしていた割に何一つ見せ場の無い陳海王！言わずもがなの大人気キャラ、サムワン海王！そして皆さんお待ちかね、我らが拳王道、範海王！
こいつら最高のモブキャラアホキャラザコキャラたちがアニメで観られる日が来るとは。あれは楽しかったな。龍書文と春成は期待したわりに普通だったが。
とにかく範海王、リンゴを足で切れる大道芸人としてこれからも頑張ってくれ！
しかし誠に皮肉なことに、アニメスタッフがいくら頑張っていても、肝心のストーリーがすでにぶっ壊れているのがライタイとアライジュニア編だ。いまさらこの迷走ぶりを語ることは省くが、本当にひどいんだ。というか、そもそもこの漫画はグラップラーと死刑囚中盤までだけが面白い。そのあとはずっとこうなんだ。
作画に関しても、烈にすべての情熱を注いだのか、アライジュニア編からは大して良くなかった。漫画の構図をそのまま使うだけのシーンも多かった。まあ仕方ないよ。こんなのアニメ化する側もやる気なくすよ。実際見てる間も、「なんでアライジュニアが訳も分からずボコボコにされる話をアニメで見ているんだろう」とむなしい気持ちになった。
でもあれですね、ジュニアと梢江のいちゃラブシーン、基本的に無意味なので原作でも飛ばすくらいの勢いですが、アニメになるとちょっと良かったっすね。数分に一回ファミレスに行く男、モハメドアライジュニア。ジュニアのことは今回のアニメで好きになれた。
肝心の格闘シーン。上述のようにCGではなくなったので、違和感は大分少ない。引いたカメラワークになると漫画太郎かな？というくらい顔が崩壊しているところもあったけど、大して気にならない。決めるときは決めてくれていたのでかっこよかったす。
一番アニメ化の弊害を受けたのは、あそこかな。独歩対ジュニアの1戦目。顔面と股間への掌底が決まったかと思いきや、「このタイミングで、カウンターまで…」のところ。
あれは漫画で読むと、決まったところで次週へ続き、次週の冒頭で独歩のモノローグになるっていう、板垣センセ渾身の演出なんだけど、アニメだとそのタメが無かったので感動無し。
躱しやがった！のところも、確か漫画ではジュニアがスウェーバックと言うか、体をひねりながらのバックステップで躱してるっぽい表現になってて、アニメでどうなるかなーと思ってたけど、そこの描写はほぼ無し。動いてくれ！アニメなんだから！
とまあ、なんかそんなに期待することもなく淡々と見てたんだけど、結果として、楽しかったよ。今でもバキのセリフのほとんどを覚えていることに感動した。アンタさ…ほんっと優しいのな…とか、良かったね。
しかもびっくりしたのが、ラスト！バキがジュニアを倒して勇次郎に挑んで、「俺という物語の締めくくりにしたい」つってメタ発言して（当時漫画のタイトルは『バキ』だったので、いよいよ終わるのか！と読者は驚いた。結果として、バキは終わったが範馬刃牙が始まるという展開に我々は膝をついて失望した）、
で、なぜか勇次郎がタンザニアにいて、「時差、６時間！」つって勇次郎が振り返るという非常に訳の分からない最終回なんですが、
なんと、死刑囚の「リベンジトーキョー」がおまけで付いていた！あれはうれしい。あれは新装版の書下ろしで追加されたエピソード。まさかアニメ化してくれるとは！回想としてドイルの「ミギャアァァァァ」もまた聞けたし。あれは、うれしい。園田警視正バンザイ！
この作品、人には全く勧めません！なぜなら意味不明だから！ただバキファンが昔を懐かしむにはいいですよ。ちゃんと最後、みんな出てきたし。克巳、加藤、本部！鎬兄弟！それに、あれ、花田くんキミそんな感じだったっけ…？
私は長いことジャックハンマーただ一人を応援してこの漫画を読んでいたんだけど、ジャックもかっこよかったよ。「認メロッテイウノカヨ」なんて、このあとジャックが何か兄貴としての意地を見せてくれそうなすごみのある演技だった！
しかし残念、今後ジャックはピクルに食われ、後は四畳半のアパートでおいおい泣くだけです。書いてて悲しくなってくるなあ。
いま原作どうなってんのかな。相撲編ね。あれは要するに相撲協会と貴乃花をめぐる色々が話題になってた頃に板垣センセが思いつきで始めただけのシリーズなので、たぶん、今年中に相撲は適当切り上げて、グラップラーたちが新種のウイルスと戦う新章が始まると思います。
それでは皆さんご一緒に。「老齢に達しながら、なんという負け惜しみ」あーー酷い展開だ！
バキ観終わったのでやっと13の理由最新シーズン観られます、うれしい。
