Netflix『新聞記者』を観ました。一気に観て、久しぶりに深夜3時。
きょうも仕事だったし明日も仕事なのに。
えーワタクシは一応元新聞記者なので、半ば義務感を持って鑑賞したわけです。
もともと望月さんの原作は買って読んでいたけど、ちょっと思うところがあって(政治思想ではない)、映画版は観てなかった。
けど、このタイミングでNetflixがドラマを出したことに興味があったので。
観終わった直後なので箇条書き。
【気になった点】
・村上の妻について
今回、綾野剛こと村上は内閣府の首相夫人付きの立場で、理財局長に直接口利きをしたキーパーソン。元松坂桃李。
で、色々あって、証言する気になる。ということなのですが、決め手の一つが最終話の妻の発言でした。
が、そもそもコーヒーを妻が淹れて夫が飲む、という演出に引っかかっていたところ、妻は「あなたは国民に仕える国家公務員になりたいと言っていた。私は4人で穏やかに暮らせればそれでいい」と。
発言内容は僕自身の価値観に近いのだけど、作劇上の役割はあまりに「村上の妻」でしかなく、女性の描き方として古すぎる印象があった。
・マスクしてください
物語終盤はコロナ禍も描くのだけど、これはもう全員思ってるはずだけど、登場人物がマスクしてなさすぎ。ユースケサンタマリアはマスクしてたから偉い。
・東都新聞本社が、理財局長ら不起訴をテレビで知る
これはすごく気になった。テレビより前に自社の記者から絶対情報上がってると思う。
いや、他部署の記者は知らんけど。キャップはテレビ見てる場合じゃないでしょ。
・新聞記者の描き方
結局、原作らしいというか、表現が難しいけど。うーん。
裁判に向かうところで終わる、というのは現実を考えると妥当だと思うのだけど。米倉涼子も横浜流星も、そこに立ち会っているのは新聞記者という職業としてではない、というところが少し気になった。
社会に一石を投じる、という理念はあっても、字にして伝えるのが本業であるから。
あとそもそも、横浜流星くんを公私混同で連れ回しているような印象は拭えず。
・「米倉涼子だけ良い記者」
マスコミは遺族配慮が足りないけど、米倉涼子だけは良い人、っていう描写がちょっとズルかった。
家で張ってる週間文潮とやらの記者はゲスくて、お墓で張ってる米倉涼子は誠意があるって、それは違うんじゃないか。
そもそも最初スクープした毎朝新聞(そういえば、産経っぽいのもあったけど読売っぽいのが出なかったね)だって気骨ある報道だろうに。
【良かったところ】
・新聞記者の描き方
↑と矛盾するようだけど。朝駆けも夜回りもしていたし、大切なところは取材先との関係構築からの多角的情報、そして字にすること。というのがちゃんとあってよかった。それだけに、ラストシーンがなんとも言えなかったんだけど。
あと、レッツノートを使っていたところがよかったです。
・役者陣
みんな素晴らしかったです。特にまあ、綾野剛だけど。
でも横浜流星くんも良かった。
・最後のモノローグ
これも良かった。結局、立場を問わず自分と社会の関係を俯瞰して、全体像を見ること。
・名古屋高検
これはもうフィクションのカッコよさ。
という感じで。
安倍晋三夫妻の名言も飛び出すし、みんなが森友学園のことを忘れている今、観る価値ありな作品と思いました。
映画版も見てみようかなあ。でもなあー。