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【バキ】グラップラー刃牙シリーズは何故か捨てられない【BAKI】① ~キャラクター・ベストバウト編~
グラップラー刃牙。またの名をバキ、あるいは範馬刃牙、刃牙道。格闘漫画の金字塔とのキャッチフレーズ。
全然集める気はなかったのだけれど、古本屋で見つけるたびにフラっと購入していたところ、遂にコンプリートしてしまった。悪夢のように部屋に散乱している刃牙シリーズですが、ここらで刃牙についての記事を書きたい。刃牙はなんだか叩かれがちなので、僕はめちゃくちゃ好意的な感じでいきたいと思います。書いてもいいですか?
ありがとうございます、烈海王(故人)……
ていうか
この部屋居心地悪い。
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刃牙シリーズとは
Wikipediaによれば、
地下闘技場の最年少チャンピオン範馬刃牙と、刃牙の父で地上最強の生物と謳われる範馬勇次郎を中心とし、様々な格闘家との闘いが織り成す長編格闘ドラマ。 通常の格闘技の試合のみならず、色々な条件下での死闘が数多く描かれており、本作の持つ「『地上最強』は誰か?『地上最強』とは何か?」のテーマに深みを 持たせている。作者は本作を「闘いのテレクラだ!!」と称した。
だそう。闘いのテレクラってなんだ。
第一部グラップラー刃牙、第二部BAKI、第三部範馬刃牙、第四部刃牙道、合計120巻近い長編であるので、簡単にストーリーをまとめたい。
グラップラー刃牙
刃牙くん(首に視神経がある)が、母親を殺した父勇次郎を倒すためになんかすげー強い猿とかヤクザとか軍人とか紐切りとか医者と戦ったあと、東京ドームの地下で凄い感じのトーナメントが行われる。
名作漫画。
バキ
バキ―New grappler Baki (No.1) (少年チャンピオン・コミックス)
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刃牙くんがいろんな人に金的した。
範馬刃牙
精神病になってしまった刃牙くんがゴキブリに弟子入りしたりしてたら勇次郎が味噌汁を作ってくれた。この表紙の口元、ずっと見てるとなんだか不安になります。
刃牙道
刃牙くんの顔が大きく変わった。主人公の名は本部以蔵である。
イカしたキャラクター群
刃牙シリーズには多くの格闘家が登場したけれど、長く続けた甲斐あってか、魅力的なサブキャラクター達が脇を固めている。というか脇役たちが好き勝手に動きまわったあとに刃牙がボスを倒す、というのが最大トーナメント以降の刃牙シリーズ。
いかんせん好きなキャラクターが多いので、ここでは「応援したいキャラ」を並べたい。
ジャック・ハンマー
このフィギュア格好いい。欲しい。
ジャック・ハンマー!刃牙の兄であり勇次郎の子供だ!アライジュニアをボコボコにした辺りまでは鬼神の如き強さだった!でも色々あって今は安アパートに引き篭もって泣きながらヤクを摂取しているぞ!
今後なんとか頑張って欲しい。武蔵に弟子入りして鬼の貌を背中に出せるようになってくれ。
純・ゲバル
突然登場したかと思えばいきなり作中ベスト3くらいの持ち上げ方をされたのちアメリカ最強の男ビスケット・オリバに成す術なくやられた。バキシリーズの登場人物には、まともな「良い人」は極端に少ない。ゲバルはその一人だった。もう一回出てきてくれ。忍術を使え。
アライジュニア
全てが壊れ去ってしまった人。第2部バキの死刑囚編が終わった辺りから凄いカッコイイ感じで出てきたけど最終的に全てが壊れ去ったよ。
好きなキャラはこれら3人に加えて幼年刃牙・ユリー・自衛隊の皆さん・オリバ・克己など。花山薫もいいよね!可愛い女の子こと薫たん。
ベストバウトTOP5
刃牙には名場面が多い。グラップラー時代は特に。私的なベストバウト集をお送りします。
【第5位】渋川剛気VSアライJr.
渋川先生すげー迫力あるしアライジュニアがそれに驚嘆しながらも天性の才能で対向するインパクトも凄いし、好きなカード。グラップラーの頃のような良い感じのインフレというか、強者対強者って感じがしたなあ。
【第4位】愚地克己VSピクル
名勝負製造機こと克己。花山戦と迷ったけれどこちらにする。トーナメント以降、ピクルと戦うまではあまりに悲惨な扱いを受けていた克己だがここで一気に開花した。マッハ突きを駆使してピクルに善戦する様は泣ける。あの結末はエヴァもビックリの酷いオチだ。愚地克己21歳の夏、灼熱の刻で終わってくれれば…
【第3位】幼年刃牙VS勇次郎
幼い刃牙が初めて勇次郎に挑んだ回。この頃の刃牙くんは凄く好感の持てる主人公であったし、母の死の演出も相まってとても印象に残る。夜空の絵も綺麗で、幼年編のキャラが総出で応援に来ているのも感動的。つーか刃牙が何をしても棒立ちでノーダメージの勇次郎…ちょっと前(連載時間)まで独歩に殴られまくってたのに…
【第2位】ジャック・ハンマーVSアレクサンダー・ガーレン
ジャックを贔屓しすぎてこんな位置に入れてしまった。もちろんアライジュニア戦もジャックの素晴らしい強さを堪能できるので好き。三崎健吾の時も渋川先生の時もシコルスキーの時もそうだけど、ジャックはとりあえず相手の攻撃を全部食らってから余裕綽々で反撃して一気に勝つ。皆さんも喧嘩の際は是非、貫手で肋骨をへし折り、体重を乗せたストレートで肋骨を心臓に叩き込みましょう。
【第1位】花山薫VSスペック
妥当ですみません。刃牙ファンの中でも最も人気があるだろうバトルであり、薫ちゃんがマトモに戦った最後のカード。いや実際これは名勝負でした。ガーレンに一発で気絶させられてた花山、ここで株を回復することに成功。スペックが警官から奪った拳銃で花山の膝を撃つシーンを読み返すたびに、お前ここで頭撃っとけばよかったのに…と同情する。そんな花山スペック戦、死刑囚編最初のバトルにして一番のピークであった。
_______________
続きを書きました。
雑記(および本棚の整理)
●実名で、というわけではないのですが、その他SNSとこのブログを直結させました。
理由はそのほうが性に合っているということ、ケツを叩かれて書く気になるんじゃないかということ、迂闊なことを書かないためのセーフティ装置(迂闊なことばかり書いてたけど)、などというわけではなく、前回の記事がソーシャルで拡散されたのが嬉しくて自慢したくなったからです。やっちゃったあと非常に後悔し、上記のような理由を編み出しました。
僕が購読しているこのブログの方も以前現実とのリンクを決断されていたので、啓蒙されたと言ったらそれは過言です。
●最近バイクの記事が少ないことを痛感しております。
バイクに関してはほぼ毎日乗っているのですが、如何せんVTRが優秀なもので何ら不調を起こすこともなく、300kmごとにガソリンを入れるだけとなっております。そろそろ長ツーリング行きたいな。
攻殻機動隊 新劇場版を観た
先日、友人たちと攻殻機動隊の新劇場版を観に行ってきました。彼らとはここ2年間、半年に一度公開された攻殻機動隊ARISEも全て一緒に観に行った。と言いたいけれどそういえばARISE最終章、ボーダー4を寝坊して見損なったこともありました(後で一人で観に行った)。
今回のコレは、「新劇場版」などと割と詐欺っぽいタイトルを付けてはいるものの、色々やっても結局風呂敷が纏まらなかったARISEシリーズの締め作品。とはいえ、仕切り直しということで旧来のファンを呼ぼうとしているのか、押井版チックなビジュアルが宣伝に使われていた。
攻殻機動隊シリーズというのはいろいろあって、
①士郎正宗による原作
②押井守による映画化
GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊 [Blu-ray]
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③神山によるOVA化(SAC)
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↑ちなみにコレは一期の「本筋」と言える笑い男事件に関する話だけを抜き出してまとめたもの。攻殻機動隊入門には一番オススメします。
攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG DVD-BOX (初回限定生産)
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SACは大人気だったため色々多い。
④攻殻機動隊ARISE
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という感じ。これらのコミカライズだとか色々メディア展開も多い。
僕が一番好きなのは押井版で、イノセンスの無常感、執拗に繰り返される引用(これがめちゃくちゃ不人気)、バトーの渋さに感動して攻殻機動隊にハマった。
それでいくと、ARISEはSACで確立された「キャラアニメっぽさ」を受け継いでしまっている気がして、少し残念だった。あと勿論ビジュアルについても、
押井版がこうで、
SACでこうなったのが、なんで知らんけど、
こうなっちゃったのが残念でしょうがなかった。
で、そこそこの期待で臨んだこの新劇場版は、めちゃくちゃに面白かった。以下、文章力不足のためマトモな考察は出来ないけれど、ダラダラと感想を。
なんだARISEシリーズ超有終の美飾ってんじゃん、と言った感じの作品。きちんと攻殻機動隊の世界を説明しつつ、草薙素子たちの仕事を説明しつつ、ARISEで起こった擬似記憶ウイルス、ファイアスターター絡みにも区切りをつけて、原作・押井版・SACにつながっていく予感を抱かせる終わり方。
電脳世界の描写は少しSACに寄せてきていて懐かしさを覚えました。アクションも綺麗だったし、コーネリアスの音楽もなかなか好きだった。
チームとしての攻殻機動隊を描くのに成功しているし、難解なストーリーの中でも政治闘争を(なんとか)描き、なんかEXILE TRIBEの人はいる必要感じなかったけれど、とにかく良かった!
また、ARISEで納得がいかなった同人っぽい雰囲気(サイト-がギャグキャラ扱い、バトーもお茶目な側面ばかり強調される)は鳴りを潜めたのも良かった。
さらには、押井版では出番なし、SACではほぼ一秒も活躍していないパズとボーマも鬼気迫る活躍ぶりを見せてくれました。というか観る前から「ボーマが何回画面に映るか」「ボーマが何秒しゃべるか」というダービーをやっていた僕たちは、劇場で凄まじく強いボーマの姿を見せられて思わず涙を流してしまったのでした。
だって、バトーとトグサはまあメインキャラとして、イシカワは電脳戦専門かと思いきや肉弾戦も強く、サイト-は女性人気を一手に引き受け、パズはこれまでの不遇を挽回するかのようにARISEでは目立ちまくり、そんな中ボーマは……
おめでとう、ボーマ。
10proを紛失したのでAudio-technicaのATH-IM70に乗り換えた
大学生限定無料だったので国立新美術館マグリット展に行った
今日は火曜日ということで本来は休館である国立新美術館。しかしこんなキャンペーンを目にした。
ということで、兼ねてから行く機会を伺っていたマグリット展に行った。
昼過ぎに起きてよっこらしょと体を六本木に運び、新美に着くとそこはさすがの休館日、ロビーにもあまり人影はなく、なんだか関係者として入館しているような高揚感アリ。ミーハーな僕は少しテンション上がり気味でマグリット展示のある二階へ上がる。
なんだこの人の数は。多い。予想外に中は混雑していた。そしてそれらは全て大学生。気に食わない。大学生しかいない空間というのはこれほどまでに異様でストレスの溜まるものだったのか。道理で大学も嫌なわけだ。
展示内容は期待通りといえば期待通り。何の変哲もないといえばなんの変哲もなかったけれど、シュールレアリスムの展示特有のふわふわざわざわとする気持ちは十分に掻き立てられた。しかし大学生達がウザい。一つの絵に目をやっては友人同士で苦笑し合い、「よくわかんないね」と言いながら5秒ほどで次の絵へ行く。何しに来ているのか。
おそらく僕の心が狭いだけだし、僕も絵画は不勉強だから何も偉そうにすることは出来ない。しかし絵画、特にシュールレアリスム絵画はわからないことを堪能する側面が強いはずだ。もう少しじっくり向きあえばいいのに。と思うと同時に、人の振り見て我が振り直せというか、僕も普段、絵画ファンからするとああいうふうに映っているのかもしれないと考えて怖くなる。
マグリットの絵を見て何か読むに足るような感想を書くことが出来るとは思えないが、一つ考えたこともあった。彼ら画家は無関係な事物を並べて、あるいは無秩序を生み出すことによって、鑑賞者の内に旧来の価値観を揺らぎを引き起こし、己の見直しを促すという。しかし、現代において僕達は何を見てもそうそう驚かない。インターネットメディアでは表層的なインパクトが重要され視覚的な意外性が増幅されたコンテンツが溢れかえっている。SNSの流れの中に踏みとどまるためには相当な意外性が必要だから。それらは当然マグリットも含む、プログレッシブで、イメージの再構築を煽るような画家の作品を基にして作られているのであり、いわば僕たちはそういったものに見慣れているのではないか。
中世の西欧絵画などはその技術そのものに感嘆することができるけれど、ある程度最近のものになるとそこには新奇性が求められ、そして僕たちは無意識の内にそれらに親しんでしまっている。マグリットは複数の題材のコラージュのような作品が多いけれど、それこそ現代ならスマホ一台でああいったことが出来るようになってしまった。ジャクソン・ポロックとかはそう真似できないから新鮮さを保っているけれど。
そう考えると僕たちはとても不幸かもなあと思う。でも音楽に置き換えて考えてみれば、Flying LotusであったりRobert Glasperであったり、新たに生み出される音楽にも新鮮な驚きは多い。イエスをはじめプログレ四天王は今聴いてもプログレッシブだ。ならばこの感想はただ僕が絵画についての知識が不足しているために新奇性を享受できていないだけかもしれない。
身も蓋もないですね。
ウイルス性腸炎にかかりました
六本木のスターウォーズ展に行ってきました
何と言っても、ジェダイ達、シス達のライトセーバー展示が最高だった。
そして戦争史まとめ。ジオノーシスとヤヴィンがやっぱりアツい。
さらに六本木ヒルズの屋上スカイデッキに上がれば、ダース・ベイダーと一騎打ち出来る。ヒルズの屋上に行けるだけでワクワクもんなのに、ダース・ベイダーと写真まで撮れるとは…
と思いましたが、昼間はライトセーバーを点灯させておらず、なんか蛍光灯の芯が大好きな人たちみたいになってしまいました。
幾度も読み返している小説 「スカイ・クロラ」シリーズ
僕は中学生の頃に初めてスカイ・クロラを読みました。森博嗣の作品に触れるのはこれが初めての事だったけれど、その文体、徹底した一人称視点、散りばめられた謎、魅力的な登場人物、淡々としながらも生きることについて考察し続ける内容……全てにノックアウトされた(今思えば、この文体はライトノベルの一種とも言えるような性質を持っているとも考えられますが)。
それ以来僕は現在22歳に至るまで、 少なくとも年に一回はシリーズを一気に読む習慣がつきました。
今更僕が解説しなくとも、ネット上にはスカイ・クロラシリーズについての詳細な説明、そして物語についての考察がたくさんある。でもこのシリーズへの思い入れをやはり一度ぶちまけておきたいのでここに書いておきます。別に新しい見方とか持ってるわけではありません。途中からネタバレするかも。
ちなみに映画版を監督したのは押井守、その影響で攻殻機動隊シリーズにものめりこむことに。
スカイ・クロラシリーズとは?
シリーズは全6巻、刊行順に並べると
フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life (中公文庫)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/11
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クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/04
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となる。
ちなみにこのシリーズは装丁がとても美しいです。上に挙げたのは文庫本のシリーズで、それぞれ単色を大胆に使ったデザイン(僕はこちらが好きなのだけど)。単行本も壮大な空の写真にタイトルが刻まれたデザインは本当に素晴らしいとしか言いようがない。
これが単行本。
時系列
ここからネタバレあり。
実は上記の刊行順は、作中の時系列順ではありません。時系列順には、
2ナ・バ・テア→3ダウン・ツ・ヘヴン→4フラッタ・リンツ・ライフ→5クレイドゥ・ザ・スカイ→1スカイ・クロラ→6スカイ・イクリプスとなります。
スカイ・イクリプスはシリーズの補完として書かれた短篇集であり、それぞれの短編がいろんな時系列なのでちょっとアレだけれども。
主人公は誰だ?
前にも書いたとおり、このシリーズは主人公である「僕」の徹底した一人称視点が特徴。しかも、主人公となるキルドレ(年を取らないパイロット達)は地上の世界に興味を持たないため、世界で何が起こっているのかが文中で説明されることは殆ど無い。
会話など、断片的な情報を拾いながら、まずそれぞれの作品の主人公が誰で、時代がいつで、何が起こっているのかを考えなければなりません。そしてそうした推理が可能なくらい、スカイ・クロラの世界は緻密に構築されています。無駄がない。
ちなみにそれぞれの内容から確定できる各主人公は、
ナ・バ・テア、ダウン→草薙水素
フラッタ→栗田
クレイドゥ→?
スカイ・クロラ→函南
となります。
クレイドゥでは、最後まで主人公が誰なのかは明かされません。候補となるのは、栗田か草薙。けれど、作中で「キルドレに戻る」「ブーメラン」などの表現がされていることから、「僕」は草薙でほぼ間違いないと思います。冒頭が栗田と思わせるミスリードになっているけど、栗田が主人公だとすると全く筋がわからなくなってしまう。
基本的に、僕はこのシリーズを以下のブログと同様に解釈しています。
と思って久しぶりにこのブログにアクセスしたら、新たな解釈が追加されていた。
僕は「再考」と書かれていない方の考察に同意しています。
ていうか、この「再考」、いや~それはどうなんだろう?スカイ・クロラの函南はそれまでの作品での草薙で間違いないでしょう。スカイ・イクリプスのいくつかの短編が明らかにそう言っていると思う。
世界観そのものが素晴らしい
上記のブログのように、作中の謎を追うのももちろんこの作品の大きな楽しみですが、スカイ・クロラシリーズはただただ読むだけでその雰囲気にのめりこむことが出来ます。
空の美しさの合間に挿入される、どこか異国のような地上の風景。ドライブインでミートパイとコーヒーを注文する主人公たち。
煙草をふかしながら自分の思考を整理しようと努める子どもたち、大人たち。余談だけれど、かつて僕が煙草に手を出したきっかけの一つはこの小説だと思う。あとはデヴィッド・ボウイとパルプフィクション。
魅力的な登場人物たちの中でも特に僕が好きなキャラクターは、笹倉とトキノ。この二人はどちらも、悲壮な物語の中にあって、自分の生き方を全うしている男です。
キルドレではなく、普通の大人として地上の世界で生きる、凄腕のメカニックである笹倉。キルドレでありながら、自分の存在理由に迷うことは少なく、飄々としてどこか達観しているトキノ。
彼らのように生きたいなあ。
_____________
以上、まとまらないけれどスカイ・クロラシリーズについての思い入れを吐き出しました。
最後に第一作、スカイ・クロラでの函南とクサナギミズキの会話を引用したい。初対面の人とはこういう挨拶をしたいですね笑
『よろしく、ユーヒチ君』
『うん、よろしく』
『何を、よろしくなの?』
『君がさきに言ったんだよ』
『私のよろしくは、お友達になって、お話をするっていう意味』
『僕も、だいたいそれ』
「セッション(Whiplash)」を大学ビッグバンドトロンボーン奏者が観た
先日、話題の映画「セッション」を観た。
例のゴジラのところで。
セッションといえば、
「セッション!(正規完成稿)~<パンチドランク・ラヴ(レス)>に打ちのめされる、「危険ドラッグ」を貪る人々~」 - naruyoshi kikuchi INTERNET TROISIEME
町山さんにアンサーさせて頂きます(長文注意) - naruyoshi kikuchi INTERNET TROISIEME
とまあこんな感じだ。
一応僕も、そこそこ有名なビッグバンドのレギュラーバンドのリードトロンボーンを務めていた身として、なにか考えてみようと思った。
とにかく、観終わった後の感想は「恋愛シーンいらねえ」だった。
ニコルとかいう女は主人公にナンパされたあと主人公に振られ、再登場しては主人公を振り、要するにチグハグな存在、とりあえず女いないと!というメタ的なヒロインだった。
音楽面について。ビッグバンドのシーンは迫力もあって良かった。ただひとつ言うならば、全体的にかなり高い精度で当て振り(口パクの演奏版)がされているのに、トロンボーンに関してはちょいちょい適当であった。悲しいこと極まりない。
主人公のドラミングは、菊地成孔が言うようにあまり褒められたものではない。ガチャガチャとうるさく、これならばハードロックを題材にした方がいいのでは?と思うくらい。これは、多分映画的な配慮だろう。ビッグバンドが題材だからといって、ムーンライト・セレナーデのようなしっとり曲をプレイしても、映画として映えない。特に、ライバルたちと競う場面が登場する以上、なにか「強さ」の指標が必要だったのだと思う。今回はそれを、「早く叩ける」ことにしたということ。
まあ仕方ないのでは。
スパルタ教官については、まあフィクションの登場人物だな、という印象。ヴォルデモートみたいなもん。
そもそもこの映画はなまじ音楽学校における生々しい挫折を描いている、というような偏見が広まっていることがいけないんだと思う。これは完全にファンタジーの世界だ。だって、本番のステージに急いでいる時にバスがパンクして、レンタカーを借りればスティックを忘れ、取りに戻れば交通事故に遭う、そりゃもうジョジョかなんかの世界だろう。
そう思ってみればなんのことはない、整合性のとれていない登場人物造形や展開も全く問題ない。
個人的にこの映画は特にどうということはない普通の映画だった、という印象。素晴らしい点は、各楽器を丹念に写し、ミュージック・ビデオのような楽しみ方が出来る点。バンドメンバーが楽器ケースから一斉に楽器を取り出して組み立てるところなんかはニヤニヤしてしまった。残念なのは、先述の通り、ファンタジー映画なのに音楽映画のような宣伝がされていること。
わかりきっていたことなのですが、僕がこんな記事を書いても、結局のところ僕の本棚には菊地成孔の著作が並んでいるわけだし、映画に詳しいわけでもないし、菊地成孔サイドに偏るのもしょうがないですね。失礼いたしました。