先日、近所の商店街で昼間から飲んだくれていたところ、映画と音楽が好きなデザイナーの方と知り合えた。
その方からステキなTシャツとワッペンを買いました
タクシードライバーのデニーロとパルプフィクションのダンスシーン、そんで山下達郎のRide on timeジャケ。あざとい!
で、その方と映画の話をしていたんですが、「ロッキーと言えば4だ!」とおっしゃるので、ワタクシは腰を抜かしてしまった。
ロッキー4!?ロッキー4だって!?
ドルフラングレンのムキムキしか観るとこないよ!
「音楽が良くてねえ」
「アイオブザタイガー」
「若いのによく知ってるねえ~!」
いや確かに、サントラの最高っぷりは認めざるを得ない。
サバイバーではアイオブザタイガーだけじゃなくてバーニングハートも超いい。何より、ハーツオンファイヤーが大好きなのだ。これまでの人生、やる気が出ないときはいっつもハーツオーンファーイヤーと歌ってきた。JB御大のリビングインアメリカもあるし。ロッキーのテーマも派手でかっこいい。
実は、ファンファーレfromロッキーもめっちゃくちゃ格好いいのだ。マックスバリュで流れてそうなシンセの音色で、めちゃくちゃ泣かせるメロを奏でている。
「話も良くてねえ」
「アポロの仇ですもんねドルフラングレン」
「ファンだねえ~!」
ファンだ。僕はロッキーが好きだからフィラデルフィアに単身渡り、かのランニングコースを走ったこともある。この作品ではアポロクリードの無念を晴らすため、彼のコーチであるデュークもチームに加えてドラゴ(ドルフラングレン)に挑むんだ。熱い展開だね。
でもロッキーⅣはぜんぜんダメだ!
ロッキーの敵はソ連なのか!?
この作品では露骨にアメリカ対ソ連の構図だ。露骨っていうか、それしかない。で、ドラゴはソ連の最新技術を使って体を際限なくムキムキにしていく。一方のロッキーは、冬山で薪を割ったり、岩を運んだりして鍛えていく。超科学バーサス超自然!結果は自然の勝ち!
まるで昨今の日本のようだ!仮想敵を作り、自国側の美しき精神性を強調し、悪を叩く!
ロッキーはそんな政治的思惑に利用されているのに、本人は気づかない!(いかにロッキーでも映画の外を見ることができないのが悔しい)
ロッキーは!!フィラデルフィアの街と同じように!!演じるスタローンと同じように!!!くすぶり続けた男が闘志を燃やして「挑む」姿を周囲に!!俺たちに見せてくれる映画だ!!その拳にナショナリズムは関与しないのである!!ましてやソ連に立ち向かうアメリカを象徴するなんてありえないのだ
しかし、しかしだった
ロッキーⅣを愛するその方はこう言った
「俺が小学生の頃に、初めて映画館で観た映画だったんだ」
そうか
それは仕方ない
そんなこと言われちゃあ、仕方ないじゃないか。
映画館で初めて観た映画で、ロッキーがアポロの仇を討つためにソ連に渡り、血を沸騰させるような音楽をバックに、科学に頼らずに鍛えて鍛えて、ついに宿敵を破ったら、そんなん忘れられないよね。
ロッキーは、世界中の俺たちに勇気をくれるんだ。後になって評価するモノではなかった。そのときその瞬間、ロッキーを観た少年少女たちに、生きる力をくれるのだった。
クリードもクリード2も同じだ。おおスタローン。スタローンは俺たちのヒーローだ、俺が愚かだった。
泣きながら成り上がるロッキー、アポロにリベンジする2、これまでの総決算的な3、趣向を変えた4、世代交代と老いを描き上げたロッキーバルボア、主役を替えてのクリード、クリード2……
どれも最高だ。
いや、一つだけ違う。ロッキー5だ。
ロッキー5、なんてつまらないんだ。目を覆いたくなる出来だった。べろべろに酔っ払って観ても途中で真顔になってしまいそうだ。ロッキー5だけは誰にも勇気を与えていないだろう。