深夜ファミレス記録

もう深夜にファミレスにも行かなくなってしまったけど、上野か新宿で夜中まで飲んだあとに勢いで書く日記。

金魚

今朝起きると、キッチンの流しで金魚が死んでいた。カウンターキッチンの上に水槽を置いていたので、はねて外に出てしまったのだろう。

 

金魚を飼い始めたのは今年2月頭だった。11カ月間一緒に暮らした。

3匹買ってきて、まず1匹が死んだ。体中に白い綿のようなものがまとわりついて、沈んで動かなくなっていた。おそらく水質悪化が原因だった。俺ももう30近いんだけど、涙ぐみながら埋めに行った。

 

 

残ったのは、でかいやつと小さいやつ。ボヘミアンラプソディーがあまりにはやり続けていたので、でかいほうは「ボヘ美」、小さいほうは「六佑(rock you)」とか名前をつけて、ケラケラ笑いながら見守っていた。

 

ボヘ美は体がでかいから一番長生きすると思っていたけど、あるとき帰宅するとフィルターの吸い込み口に張り付いて死んでいた。多分、環境変化が急だった。

夏場で水温の変化が激しいから、よく体調を崩していたようだった。ひどくなると尾びれが充血して、ひれの先が白く溶け始めた。尾ぐされ病と言うらしい。そういうときは別の水槽に移して、塩浴と薬浴を1週間。だいたい、そうするとすっかり元気になった。

でも、そのときは普通の水槽に戻してから再び体調を崩した。もっと緩やかな変化にするべきだった。

 

 

残ったのが、最初から一番小さくていじめられていたやつ(六佑)。一人っきりになってから、半年くらい飼ったことになる。他の個体がいないからか水質も安定して、夏が終わったこともあって、とても元気だった。冬になってもヒーターを設置して水温を保っていたら、すくすく成長し続けた。でっけえんだ、これが。

 

それでも、たまに体調を崩した。水替えのタイミング。こいつだけは長生きさせたい、と思って週に一回水を替え、二週に一回フィルターを替えた。だけど、多分、水を替えすぎた。そんなに汚れていないのに替えるのは金魚にとってストレスになる。本では読んでいたけど、病気の予防になると思っていたし、週に一回、半分くらいの水替えならバクテリアも残るんじゃないかと想像していた。

 

で、つい一週間ほど前も、とつぜん様子がおかしくなった。またアレだ。尾びれの充血と、ヒレ先の溶解。この数ヶ月のうちにも2回くらいあったので、手慣れたもんだった。早期治療。ちゃんと治ったように見えたので、元の水槽に戻した。

それが4日前。あきれるくらい元気で、家に帰ればエサくれエサくれとパクパクパク。キッチンの換気扇下でたばこを吸っていても、エサくれエサくれとパクパクパクパク。エサをくれないと分かると、底の小石やフィルターやヒーターを突っついていた。

 

でも、また充血が始まった。推測だけど、もっともっと段階を踏むべきだったんだろう。同じ過ちだ。体こそ元気そうに泳いでいたけど、見た目としては危なそうだった。

もうどうしたらいいのか分かんなくて、頭を抱えた。食器を洗いながら金魚を見て、煙草吸いながら金魚を見て、頭を抱えた。結局昨夜、また薬浴に戻した。体に負担になるだろう、とは思ったけど、やらないと死んでしまう気がした。

 

実際負担でクスリから逃げたかったからなのか、普通に元気だったからなのか分からないけど、飛び出して、流しで死んでしまった。

 

 

 

ペットをまともに飼ったことが一度も無かった。友達と「犬を飼っている家は、そうでない家より格が一つ上なのだ」と乾杯したこともあった。ペットを飼えるほど時間的に安定した家庭ではなかったし、実家を出てからの僕自身もそうだった。

金魚を飼い始めたのは、飼ったことがあるから。小学生の時、お祭りでもらってきた(金魚すくいに挑戦したけど、致命的に不器用だったため一匹もとれず、見かねた屋台のおじさんが2匹をくれた)。ヒブナンとヒブヤンという名前をつけてかわいがっていたが、確か1年後くらい、家族旅行から帰ると、仰向けになって浮いて死んでいた。

 

それ以来だから、今年は20年ぶりに金魚を飼ったのだった。

上にも書いたように、これが結構大変で、常にどれかの体調不良の対応に追われていたような気がする。一匹だけになってからは少し楽だったけど、今年だけで2匹を殺してしまっていたから不安で不安で、こうなりゃヤケクソだ、と夏場はクーラーつけっぱなしで仕事に行っても、一日中頭の中で金魚はどうしてるかな、と考えた。

 

元気でいてくれるときはこれまた予想以上に、楽しいのだった。ビールを飲んでいても、地球防衛軍5をやっていても、背後から小石をつつく音が聞こえると「お、調子いいな」とニンマリしていた。ピアノをベッドにして遊ぼうよ、とか、あたしは猛獣使いのベイベ、とか、そんな感じの毎日

 

ま、正直、体調不良が続くときは「もう面倒みきれないな」と半分あきらめたり、「全滅したら、しばらく何も飼わなくて良いや」とも思っていたけどね。でも充実していたし感謝していた。

 

こう色々書くと、金魚に詳しい人たちから、「飼育方法に問題があった」「ちゃんと飼えば何年も生きるはず」「調べずに適当に飼うな」なんて思われるかもしれない。

でも、俺は必死に調べて調べて、必死に環境改善に努めたし、必死に世話をしていた。つもり、とかじゃなくて、必死に世話をしていた。

 

それでも死んでしまったのだから、まあ仕方ない。まさか、薬浴中に飛び出して干からびちゃうなんて。直視できなかった。というか、俺は多分、飛び出した時の音を聞いていたと思う。寝ていたけど、ピチャピチャ跳ねる音を聞いた記憶があるんすわ。音で少し覚醒して、すぐにまた寝たんだろうな。そして金魚は死んだ。

 

やはり、もうしばらく何も飼わなくていいやと思っている。仕事だけで手一杯だ。

死んでしまった金魚たちには、ホントーに申し訳ない!ごめんね。でも楽しかったよ。10カ月ありがとーござんした。3匹とも近くの公園に埋めてやったんで、どうか俺を恨まないで。また20年後、次こそちゃんと長生きさせます。


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