根津から日暮里へ引っ越すことにした。
いま住んでいる築50年マンションは、内装も綺麗だし、立地も良いし、満足しているといえばしてるんだけど、自分だけの空間を持ちたいという希望を優先して、より広い部屋を探していた。
根津の他のマンションや谷中の戸建て、西日暮里のわけわからん戸建て、など内見を重ねたけれど、結局日暮里の、これまた変な部屋に決めた。
きょうは契約書にサインするために、新居近くの不動産屋へ歩いて行った。
30分くらいで手続きは終わり、駅前のニュートーキョーでクリームソーダを飲みながら、ボーイズ最新エピソードを見た。
今夜は池袋西口で職場の同期と飲むから、そのまま日暮里で時間をつぶしても良かったんだけど、歩きたい気持ちだったから、午後はずっと歩くことにした。
日暮里から鶯谷へ。鶯谷からまた日暮里へ。日暮里から谷中へ。谷中から千駄木へ。結局、根津に戻ってきた。往来堂に寄った後、いつもの喫茶店でブログを書くことにした。
日暮里は、根津よりも人が多い。駅前には商業施設・老健施設・住居が一体になった岐阜駅前のあれみたいな、なんとかタワーが2本ある。
駅の左右には、どっちにいったってどうせ汚い、という感じの道が続いている。
鶯谷側はテレクラ・ラブホテル・レンタルルームが多い。西日暮里側は、壁や窓がボコボコに壊れた元スナックビルや、外観だけでビールサーバーの洗浄をさぼってそうな飲み屋が目立つ。
左右、ではなく前に進むと繊維街がある。イケメンしかいないで有名、トマトもある。
へんな街だ。たぶん、根津に比べたら、住みたがる人は少ない。根津にあるような不思議な品や、車屋のような店や、歴史のうえに住む感覚は、日暮里ではまだ感じられていない。
でもサイゼもガストもあるから、数年ぶりにちゃんと深夜ファミレス記録ができるかもね。
谷中・千駄木を歩く。別に、学生時代から来ていた町で、最近もよく散歩に来ているので、目新しいものはないはず、だったが、今日はなぜか感情が乱れた。
ゆうらん船の新アルバムを聴いてたからかもしれない。
適当に路地を歩いていても、学生の頃の自分が過ごした場所に出る。おかしいなー、大学のころは吉祥寺と西荻と新宿と池袋で9割過ごした感覚だったんだけどな。
まあ、本郷とか白山とか湯島もよく行ってたけどね。自分で行きたかったからではなく、呼ばれていたから。人にも土地にも。
東京に戻ってきてもう2年くらい経っちゃったな。
割とアクティブに、好奇心旺盛に東京をさまよっていた自分はもういない。でも、過去の記憶がいろんな街に落っこちている。
歩いていたらあっという間にキッテ通りに着いて、回り道をしないと家に着いちゃうから、右折、右折、右折、直進、左折、Uターンして直進、、と前に進まないように歩く。
往来堂で、文庫本を一冊買う。
へんにエモくなっちゃってる自分を冷ますために、千駄木と根津のまんなかにある喫茶店に入って、アイスコーヒー飲みながら一服する。
根津はこれからも毎日通る予定。なんつっても、職場が湯島なんで、どうせチャリで不忍通りに出てから爆走することに変わりはないんだ。
でも根津を出るのが寂しい。別に、ここにそんな大層な思い出があるわけじゃないが、、
引っ越す前ってそーゆーもんだよね。
年齢とともに、どんどんフットワークが重くなり、コミュニケーション力も落ち、新しい居場所に出会えなくなっている。日暮里でも、別に街に溶け込むぞ的モチベーションはもはやない。
広くなった部屋で、ぼーっとして、もう数年過ごすかなというくらい。
今夜行く池袋西口だっておれのホームタウンだったはずだけど、別になんにもときめかないし、早めに行ってぶらぶらしようとも思わない。
でもまあ、ココ池は行こうかな。