西武池袋線に乗っている。
富士見台で乗車後、池袋までに先頭車両へ行くために車内を歩いていたら、飲み屋で一度会ったお姉さんと再会した。
凄い笑顔でこちらを指差し、「え、そうだよね?えっと、よこたくん」と言われ、一瞬はわからなかったが、その特徴的スマイルで思い出した。
写真撮ろ、と言い、車内で迷うことなく自撮りをしていた。会うのは2回目だが、相変わらず面白い人だった。
屈託の無さすぎる漫画のヒロインみたいな笑顔と、意外とハードに生きているリアリティを併せ持った人だった(ような記憶がある)
先頭車両に着いた。
なんだかタバコ臭い人がいるなと思い、ちらっと見たら、ロングヘアーでバレンシアガっぽい感じのお兄さんがいた。
一心不乱にノートになにか書いているので、つい見てしまった。
「スーパースターになるために 11/1」
各種SNSフォロワー数のメモ。
8時にタリーズ。10時に帰宅。脱毛。そしてバレンシアガへ。
日記と予定表を兼ねているみたいだった。
やっぱりバレンシアガに行っていた。
11/2の行動予定もスムーズに書いていく。
スーパースターになるために。妙に現実離れしていて、感動した。
スーパースターになるために。西武池袋線沿線に住んでいるのだろう。きょうはこの後何をするんだろう。
A4キャンパスノートに自分のスーパースター度をメモし、誰にも見せることなく自己鍛錬に使うのは、スーパースターの卵としては意外な感じだ。
それこそ、何時に起きて何時にタリーズ行って脱毛行った、なんてのを毎日YouTubeとかTikTokで発信したら人気になるかもしれないのに。
インターネットではなくキャンパスノートだった。(あとでどこかにアップするためのメモなのかもしれないが、彼の目はそういう雰囲気ではなかった。あれはストイックな自己管理だったとおもう)
きょうは本業の他に朝にライターの打ち合わせ、22時半に帰宅したらすぐにまた別の仕事の打ち合わせ。
なかなかダウナーな気分だったが、飲み屋のお姉さんとスーパースター志望者により、大変明るい気持ちになった。
彼ならスーパースターになれると思う。