おれのパートナーはおそらく、人の悪意に天才的に敏感である。
さっきもそうだった。折半(半々ではないが)の生活費を半年以上もらっていなかったので、そろそろ引っ越しを迎えることもあって、「今月中には精算したい」と伝えた。
そのとき、おれは驚くべき自分の口座残高に正直不安になっていて、次に、払われていない金額に対して怒ってしまっていたと思う(いちおー、パートナーは東京に来てからずっと疲れていて、いや、学生時代からずっと現実にうまく馴染めていなくて、払いたくても払えない状況であったことをよく理解しているつもり。つまり、払っていないことには不思議なくらいなんとも思っていない)。
そして、パートナーは感情をコントロールできなくなった。おれとしても混乱した。極めて穏やかに話をしたつもりだったからだった。
けれども今わかったのは、おれの中にあった悪意は、他の誰にも分からないくらいふんわりと伝わっていたのだろうということ。
この間、友人はオムライスを食べながらちいかわに潜む悪意について語っていた。
おれは人付き合いの中の悪意に関してほんとーに鈍感でいられるのでストレスがない。たぶんだけど良いことだと思う。